ムコネットTwinkle Days 命耀ける毎日

稀少難病と向き合う患者家族と理解者たちの輪番日記。
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VPDの流行を繰り返さないために

こんにちは、木曜日担当のPlus Action for Children高畑です。

 

先週末は香川県高松市で開催された第26回日本外来小児科学会年次集会で、ブース出展をしてきました。
・この一年の活動報告
・9月のワクチンパレードへの参加呼びかけ
・10月&11月の市民公開講座の紹介
・クラウドファンディングによる『Anything But A Dog!』翻訳出版プロジェクトへの協力依頼
・孫育て講座の報告
・筋痛性脳脊髄炎(ME)/慢性疲労症候群(CFS)啓発チラシの配布/ポスター展示
等を行いました。

ブースには多くの先生方やコメディカルの方、患者会・支援団体の方が足を運んでくださりました。
数多くの励まし、ご支援を戴きました。

ありがとうございました。

 

感染症の流行を防ぎ、感染症で苦しむ子ども(と大人)をひとりでも減らすため、感染症や予防接種・ワクチンに係る啓発活動に取り組んできました。

ヒブワクチンや小児用肺炎球菌ワクチンの定期接種化により、これらを起因菌とする細菌性髄膜炎は激減しました。

また、はしか・風疹ワクチン(MRワクチン)の接種促進により、昨年、日本は麻しん排除国と認められました

これらは、国民の感染症に対する知識やワクチン接種率の向上等、多様な要因によりもたらされた成果です。

 

しかし、残念ながら、ワクチンで防ぐことのできる感染症(VPD:Vaccine Preventable Diseases)の国内での流行や集団発生が繰り返されている実態も一方で残されています。

 

麻しん(はしか)の発生について(第2報)(千葉県健康福祉部疾病対策課 2016年8月21日)

麻疹:大規模コンサートに感染者 2次感染可能性を警告(毎日新聞2016年8月24日)

関西国際空港の従業員が麻疹に集団感染の疑い(日経メディカル2016年8月31日)

学習塾で56人が結核に集団感染 千葉 船橋(NHK NEWS WEB 2016年8月29日)

 

この一週間ほどでも、上記のような集団感染等が相次いでいます。

 

「麻疹排除国」と認められたのに、なぜ?と思う方もいらっしゃると思います。

我が国では国内土着の麻疹ウイルスによる麻疹は排除されているのですが、今回生じている麻疹感染は、国外からの持ち込みウイルスによるものなのです。

麻疹は2008年から5年間の限定で3期、4期の追加接種に取り組むなどし、国内土着のウイルスによる麻疹を排除することができました。

しかし、その3期、4期の接種でも接種率は十分だったとはいえません。

例えば「第3期 麻しん風しんワクチン接種率全国集計結果(都道府県別)(平成24年度 (2012年4月1日〜2013年3月31日)厚生労働省)」をみると、十分な集団免疫を獲得するために目途とされた95%の接種率を達成していた都道府県は4県に過ぎず、全国平均では88.8%に留まっていました。

88.8%でも十分に高い接種率と感じる方もいらっしゃるかも知れませんが、実数で考えると未接種者は13万人以上となります。

この13万もの未接種者は1学年の人数ですから、この追加接種の対象となっていない世代の未接種者や接種しても十分な抗体を有していない人が一定数いること等も勘案すると相当な数の感受性者(麻疹の抗体を有していないか不十分な人で感染の可能性が高い人)が存在しているのです。

国内土着のウイルスによる麻疹を排除したとはいえ、外部から新たにウイルスを持ち込まれれば再び麻疹が流行してしまう危険性が十分に残された状態であったわけです。

今回、海外からのウイルスの持込の玄関口となった空港での集団感染が報告され、また、多くの感受性者が集っていた可能性の高い大規模なイベントに感染者が参加していたことで、更なる感染拡大が危惧されています。

 

2013年の風疹の大流行は記憶に新しいですが、今回もVPDである麻疹や結核が再び集団感染を生じてしまったように、感染症は発生数がゼロに近づけば近づくほど、その疾病への知識も危機意識も低下し、そのことが新たな集団感染や流行のリスクを高めてしまうというある種のジレンマを抱えています。

このジレンマを打破するには、やはり継続的な啓発により疾病への理解と危機意識を保つこと、そして何より、VPDに対しては予防接種により感受性者を減らしておくことが重要です。

 

リオデジャネイロオリンピックが終了し、4年後には「おもてなし」の東京オリンピックを開催国として迎えることになります。

様々な国や地域から多くの人たちが我が国を訪れることが予想されますが、麻疹や結核以外にも、国外ではまだまだVPDが流行している、猛威を振るっている地域が少なくありません。

従来は「感染症の流行地域に渡航する場合は、あらかじめ予防接種を」という渡航時の注意喚起がなされていましたが、これからは渡航せずとも他国での流行なども念頭に、「持ち込まれても良いように、あらかじめ予防接種を」という意識で向き合うことが必要となります。

リオデジャネイロオリンピックでは「ジカ熱」が取り沙汰されましたが、数ある感染症の中でワクチンで防ぐことのできるものはまだまだ少ないのが現実です。

上下水道をはじめとした整備されたインフラ設備は、感染症の蔓延防止に多大な効果をもたらします。

また、十分な栄養を摂取できている状態は、感染症に罹患するリスクを軽減してくれます。

こうした我が国が世界に誇る状況に加え、感染症の中でも数少ない、ワクチンで防ぐことのできる疾患=VPDに対する十分な対策を講じた上で、オリンピック開催国として世界中からの来客を迎え入れられるようにしたいものです。

 

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Plus Action for Childrenは、趣旨に賛同いただいた皆様からの賛助会費並びにご寄付を主な収入源として活動しております。
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木曜日担当・高畑紀一@一般社団法人 Plus Action for Children 2004年、当時3歳だった長男がインフルエンザ菌b型(Hib/ヒブ)による細菌性髄膜炎に罹患、「今晩一晩が山」という状況に陥る。
幸い、奇跡的に回復することができ、「運悪く稀な病気に罹り、運良く回復できた」と考え、それ以降は病気のことを考えない、思い出さないようにして日々を過ごす。
そ の後、ヒブによる細菌性髄膜炎がワクチン(ヒブワクチン)で防ぐことができる疾病であること、2004年当時、既に多くの国々でヒブワクチンが導入され子 どもたちが細菌性髄膜炎から守られていたことを知り、「運悪く稀な病気に罹った」のではなく、ワクチンで防ぐことのできる疾病から守ってあげることができ なかった、自分自身を含む大人たちの不作為で生死の淵を彷徨わせたのだと後悔する。
この経験をこれ以上、繰り返さないため、ワクチン後進国と揶揄されるわが国の状況を改善し、子どもたちがワクチンで防ぐことのできる疾病から守られる環境を整えるため、活動に参加。
その後、ワクチン・予防接種だけにとどまらず、子どもたちを取り巻く環境を改善するため、そしてそのために行動する大人を支援するため、「一般社団法人 Plus Action for Children」を設立、現在に至る




| 2016.09.01 Thursday (00:00) | 高畑紀一 | - | - |